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ぽけっとぽけっと

あ、またシャンプー買い忘れた。

田山花袋「蒲団」を読み解く。人間はそんな変わんない。

 

はいさい!
先日は宮崎で田舎ライフを謳歌した後藤です。

 

ちなみにこんな感じ

みやざーき

一足先に新緑の風が稲穂を優しく揺らします。

 

 

 

思わず口ずさむ「少年時代」

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少年時代 / 井上陽水 - YouTube

 

ノスタルジックな感情に肩までどっぷり浸かれますね。いい曲です。

 

 

 

はてさて

 

僕は旅に出る時必ず何冊かの本を持っていきます。

それも適当に選ぶのでなく、何かしらのテーマを設定することが多いです。

そして今回のテーマがズバリ「恋愛」です。別に傷心旅行じゃないです。

 

「ナルシスト臭がプンプンする!!!」と戻るボタンを押そうとしたあなたちょっと待って下さい。そこまで嫌な気持ちにはならないと思います。多分。

 

 

そんな僕が選んだ2つの恋愛小説はこちら

ノルウェイの森 上 (講談社文庫)

ノルウェイの森

言わずもがな、村上春樹の代表作。因みに僕とワタナベくんとは同い年です。

「愛すること」とは何なのか、考えさせられる作品です。

村上春樹独特の表現も素敵です。やれやれ。

 

 

 

 

蒲団・重右衛門の最後 (新潮文庫)

 

②蒲団

私小説の先駆けと言われる、恋愛小説の原点のような作品です。

簡単にあらすじをお話させていただくと、子ども二人と妻の家庭を持った文学者と、そこへ弟子入りしてきた美しい娘との恋愛物語です。

「教えるー教えられる関係」というのは今も昔も恋愛物語の典型だったのだなぁとしみじみします。

 

今日は、この蒲団の中で特に気に入った部分があるので紹介させて頂きたいと思います。

 

 

ここが凄いよ「蒲団」

以下は、自分の可愛い弟子「芳子」にふられた主人公が芳子の影を追って、芳子の部屋を物色するラストシーンです。じっくりとお楽しみください。

 

時雄は雪の深い十五里の山道と雪に埋れた山中の田舎町とを思いった。別れた後そのままにして置いた二階に上った。懐かしさ、恋しさの余り、かすかに残ったその人の面影おもかげしのぼうと思ったのである。武蔵野むさしのの寒い風のさかんに吹く日で、裏の古樹には潮の鳴るような音がすさまじく聞えた。別れた日のように東の窓の雨戸を一枚明けると、光線は流るるように射し込んだ。机、本箱、びん紅皿べにざら、依然として元のままで、恋しい人はいつもの様に学校に行っているのではないかと思われる。時雄は机の抽斗ひきだしを明けてみた。古い油の染みたリボンがその中に捨ててあった。時雄はそれを取ってにおいをいだ。しばらくして立上って襖を明けてみた。大きな柳行李が三箇細引で送るばかりにからげてあって、その向うに、芳子が常に用いていた蒲団ふとん――萌黄唐草もえぎからくさの敷蒲団と、線の厚く入った同じ模様の夜着とが重ねられてあった。時雄はそれを引出した。女のなつかしい油の匂いと汗のにおいとが言いも知らず時雄の胸をときめかした。夜着のえり天鵞絨びろうど際立きわだって汚れているのに顔を押附けて、心のゆくばかりなつかしい女の匂いをいだ。
 性慾と悲哀と絶望とがたちまち時雄の胸を襲った。時雄はその蒲団を敷き、夜着をかけ、冷めたい汚れた天鵞絨の襟に顔を埋めて泣いた。
 薄暗い一室、戸外には風が吹暴ふきあれていた。

 

 

どうですか?気持ち悪いですよね。

 でも僕はこの主人公の気持ちが痛いほど分かります。

ここで注目してほしいのが五感をふるにくすぐる表現の数々です。

この短い文章の中で、美しい娘が去った寂しい部屋の様子、そして残された哀しい男の姿がありありと浮かんできます。

これが今から100年以上も前に書かれたといのだから驚きですよね。

 

 

所感

時は変われど、人は変われど、やはり「恋愛」を巡る人間劇というのはそこまで変わらないのだなぁと思います。

つい先日のことですが、先述したノルウェイの森の原点となる作品、「蛍」を読みました。

そこで強く感じたのが、作中に登場する「手紙」や「電話」というコミュニケーションツールの違いです。

 「蒲団」でもそうでしたが、かつての作品の世界と現代で最も異なるのはコミュニケーションツールでしょう。僕のような一端の大学生からすると、ケータイが無い状態で大学で生きていける自信がありません。友達と簡単に約束も出来なければ、試験やその他の情報交換もできませんしね。

でも、そんなものがあろうと無かろうと、それを使う人間はそんなに変化してないんですよね。

要するに、恋をしてしまえば誰しも馬鹿になってしまうのだと思います。

それは、とても愛すべき状態だとも思います。

そんな感じです。雑ですね、我ながら呆れます。

 

「蒲団」いい作品でしたよ。是非ご一読を。

 

 

 

 

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そんじゃーね!